「もう…いいかげんにしてくれ……」
生徒会長のいきすぎたお遊び、男女逆転祭りのさわぎがようやくおさまって、ルルーシュは生徒会室のイスの上でぐったりとしていた。そんな彼を、ミニスカートのスザクが笑いながら振り返る。
「ルルーシュは恥ずかしがりすぎなんだよ。こういうのはノリでやっちゃったほうが恥ずかしくないって」
「だが、こんな格好」
ノリのいいスザクにあきれて、ルルーシュは自分の身に付けたドレスのスカートを引っ張りながら言う。
「仮装みたいなものじゃないか。それに、すっごい美人だし」
「ばっ…男に美人とかあるか!」
「あるよ。綺麗なものを綺麗に飾ってなにがいけないの?ルルーシュはもともと綺麗だけど、着飾るとますます綺麗だよね」
スザクがさらっとそう言うのに、ルルーシュはなおのこと恥ずかしくなってしまう。そんな風にスザクに褒められると嬉しい、と思ってしまうのは、まるで女みたいで恥ずかしい。ルルーシュにとって自分の容姿は、場合によっては武器になるものだという認識はありこそすれ、それ以上のなんらかの価値があるものだという意識はない。だけどスザクがいいと言ってくれるなら、その容姿にも価値はあるのかもしれない。
「恥ずかしがるほうが恥ずかしいんだよ?そんなんだからおもしろがって会長にからかわれるんだよ。慣れちゃえばどってことないのに」
「……こんなことに慣れるおまえがおかしいと思うが」
軍部の余興でやらされた、というスザクをじっとりと見上げて、ルルーシュはぼそりと言う。そんなルルーシュの言葉を気にしたふうもなく、ふと思いついた、というようにスザクはポン、と手を打った。
「そうだ、恥ずかしがらない訓練をしようか?」
やさしく微笑みながらそう言って、スザクはルルーシュに手を伸ばしてくる。手を取って、ほら立って、とうながされて、ルルーシュはスザクのしようとしていることもわからずに、おずおずと立ち上がる。
スザクはにこにこと邪気なく笑って、ルルーシュの格好を上から下までひとなめすると、さらりととんでもない言葉を口にした。
「スカート、持ちあげてみて?」
「え」
なにを言われているのかわからずに、ルルーシュは硬直して短く問い返す。スザクはかわらずほほえんで、もう一度言葉を繰り返した。
「スカート、両手であげて脚をみせて。僕がしたみたいに。男だもの、平気だろう?」
「だ…な……そんな、はしたないこと」
「恥ずかしがるのがいけないんだよ」
スザクが本気で言っているのだとわかって、ルルーシュは混乱しながら一歩あとずさる。そんなルルーシュの腕をさりげなくつかんで逃げられなくしながら、スザクは笑んだまま当たり前のように言う。
「それともルルーシュは女の子みたいに、脚をみせるのが恥ずかしいの?」
「恥ずかしいわけないだろ」
「じゃあスカートあげて」
その言い様はおかしくないか?と思いながらも、あまりにスザクがきっぱりとそう言うから、たしかに恥ずかしがるほうがおかしいのかと思ってしまう。男なのだから、脚や体を見られたところでどうということはない。どうということはない…はずだけれど。
「ルルーシュ」
うながされて、ルルーシュは追いつめられたようにうつむいた。ぎゅっとドレスのスカートをつかんで、くちびるを噛む。それから赤くなりながら、じりじりとスカートをまくりあげた。
「もっとだよ、ルルーシュ。もっと。そんなんじゃ、僕のスカートよりずっと長いじゃないか」
膝くらいまでスカートを持ち上げて手とめたルルーシュを、叱りつけるようにスザクは言う。ルルーシュはほとんど泣きそうになりながらドレスの布地をかき集めるようにして、じりじりとスカートをまくり上げた。
露出したルルーシュの脚を見て、スザクが小さく笑う。
「ガーターベルト?」
「会長が…ドレスの下は、これじゃないとダメだ、と…」
「レース、似合うね」
「こんなもの…似合うとか…!」
やっぱりこんなことをするんじゃなかった。スザクにこんなものを見せるなんて恥ずかしいこと、するんじゃなかった、と激しく後悔しながら、ルルーシュは顔を真っ赤にしてくちびるを噛んだ。けれどその手はスカートを離さない。スザクの視線を隠すために、スカートをもとに戻したりはしなかった。
「ルルーシュ、下着は?下着も見せて?」
「っ……」
レースのガーターベルトを検分するように眺めたあと、スザクはにっこりと笑ってその先を促した。それにルルーシュは小さく首を振る。今だって恥ずかしくて死にそうなのに、これ以上見られたら本当に耐えられない。
恥ずかしくて、だけどスザクの視線がじんわりと熱くて、ルルーシュはスカートを持ち上げたまま、もじもじと腰を揺らした。そのしぐさがかえって誘っているように見えるなどとはルルーシュは気付かない。
「見せて」
繰り返して言われて、ルルーシュはじりじりとさらにスカートを持ち上げていく。そうする間に、スザクの指がガーターベルトのレースをなぞって、その感触にルルーシュはぴくりと体を跳ねさせる。膝ががくがくとふるえた。羞恥にどうにかなりそうになりながら、ルルーシュははしたなくスカートを持ち上げる。
「下着も女の子なんだ?」
スザクはめくられたスカートの下の下着を見て、ささやくように言った。ルルーシュはもう耐えられなくて、スザクから目をそらしてぎゅっと目を閉じた。
ドレスの下にはレースのガーターと下着をつけるのが作法だ、と会長に言い切られてしまって、ルルーシュは律義にもそれを全部身に付けていた。男の体にそんなものなど、おかしいだろうに、スザクはそれを見て楽しげに笑った。
「ルルーシュ、感じちゃった?反応してるよ?」
「っ、あ……!」
ささやきながら、スザクはレースの下着の上から、ルルーシュのものをすうっとなぞる。
シルクの下着に、じんわりと先走りがにじむ。女物の小さな下着に押し込められたそれは、スザクに指摘されたように、反応して熱く硬くなっている。こんな格好をスザクに見られて感じている自分を知って、ルルーシュは真っ赤になってうつむいた。
恥ずかしい、と思うのに、そう思うことそのもので感じた。こんな恥ずかしい格好をスザクの視線にさらしている。反応している自分を見られている。そのことがかえってルルーシュの官能を煽った。そしてスザクはさらにそれを追いつめるように、下着の上から反応しているルルーシュのものをするするとなぞるのだ。
「スザクっ……や……!」
「ルルーシュは、はしたないな」
下着を濡らしつつあるルルーシュのものの、形をなぞるように指を這わせて、スザクは熱っぽい声でそう言った。シルクの布の感触がたまらなくて、ルルーシュはすすり泣く。がくがくと脚をふるわせて、立っていられずにスザクの腕にすがりついた。
「後ろ向いて、ルルーシュ」
ルルーシュがのばした腕を逆につかんで、それを背後のイスの方に導きながらスザクが言う。スカートを持ち上げていた手をイスの背に置かされて、ルルーシュはスザクを振り返ってその意図を問う。
「な…に……」
「恥ずかしいルルーシュを見てたら、僕も感じちゃった」
後ろからルルーシュに体を寄せながら、スザクは彼の耳元でそうささやいた。後ろからスカートをまくりあげられ、背後から体を添わされて、そこに感じたものにルルーシュはびくんと体をふるわせる。
「あ……」
「ちゃんとスカート持ってて?じゃないと汚しちゃうよ?」
するするとルルーシュの下着を引き下ろしながらスザクは言う。ドレスの布地がたわむその下に、スザクの熱を感じてルルーシュはふるえた。スカートの前側はイスの背に置いたルルーシュの手にかろうしてひきあげられ、たわんだ布地はドレープを描くようにして、背後でスザクの手にたくしあげられる。
いま自分がどんな姿をしているか、その想像にかあっと体が熱くなる。恥ずかしくて、体が熱くて、ルルーシュはイスの背に必死につかまりながら背後のスザクを振り返る。
「スザ……!」
名前を呼びかけて、ルルーシュは途中で呼吸を止める。激しく体を揺らして、ガタン!と音を立てて必死にイスにしがみついた。
「やっ────!」
ずぶ、と背後からスザクがいきなり進入してくる。腰をつかまれ、スカートの下から、ゆるゆると入り口をこするように突き上げられる。
「あっ……っ…ふっ……」
その緩やかな刺激がたまらなくて、もっと深くに欲しくなって、ルルーシュはイスにつかまったままはしたなく腰をゆらした。
「んっ…!」
その貪欲な動きに答えるように、スザクがルルーシュの奥までを貫く。ミニスカートをまといつかせて、彼はドレス姿のルルーシュの腰をゆさぶる。それを振り返って嗤おうとするけれど、ルルーシュはイスにしがみついて体を支えるのが精いっぱいで、スザクを振り返ることもできなかった。
「ん────ん…ふ……っ」
「ルルーシュ、声出して」
揺さぶられながら必死に声を殺すルルーシュの耳もとで、熱っぽくスザクがねだる。そのくちびるが軽く耳たぶを食むのに、ルルーシュはぞくぞくしてふるえた。
「ルルーシュのはしたない声、聞きたい」
「ば…だれか…聞こえたら……」
「大丈夫だよ…ルルーシュは、はしたない子なんだから」
なにが大丈夫なのか、スザクがそう言う。それに答えたわけではないけれど、ルルーシュはもう声を殺すこともできずに、高い嬌声をあげる。
「ああっ…んっ、スザク…!」
汚さないようにとイスの背をつかむ手で、なんとかたくしあげているスカートの前身ごろ。たわんだその布地の下で、スザクの手がルルーシュのものをいじった。揺さぶられながらぐちゅぐちゅとそれをなぶられて、ルルーシュはすすり泣いて声をあげる。
「だめ…だ……そんな、の…」
「どうしてだめ?」
「きもち、い……」
「きもちいいとダメなの?ダメ、っていうのはイイってこと?」
「やああああっ、ダメ…ダメ……!」
細かく腰を揺さぶりながらにちにちと前をいじられて、あまりの気持ちよさにルルーシュはがくがくと脚をふるわせる。ぱたぱた、と先走りの液体が床に落ちるのを見て、ルルーシュは頬を染める。恥ずかしくて、そしてその恥ずかしさにさらに感じた。だけど恥ずかしいのはルルーシュだけじゃなくて、女装したままルルーシュを抱いているスザクだってたいがい恥ずかしい。
二人とも恥ずかしいから、だからいいんだ…と思いながらルルーシュは熱に飲まれていく。がくがくと脚をふるわせて、イスにつかまる手にももう力が入らずに、たくしあげていたスカートがこぼれ落ちるのにも気付かずにただスザクの熱を感じ手声を上げた。
「ルルーシュ、中で出していい?君の中、びしょびしょにしたい」
「ダメ、だ…」
「いいってことだよ、ね?」
「やっ、あっ……!」
耳もとでささやかれ、ずくっと深くを犯されて、ルルーシュはびくんっと体をふるわせて達した。それとほとんど同時に、体の奥に吐き出される熱いものを感じて、ルルーシュは過ぎ去っていく熱に脱力する。
「は───」
ルルーシュはイスにつかまる力もなくして、そのままズルズルと床にしゃがみこんだ。ぺたり、と床に座った自分の体内から、とろとろとスザクのものがこぼれ落ちるのを感じながら。
その後ルルーシュとスザクは、あちこちべたべたに汚れたドレスを前に、どうすべきか考え込むことになった。